休業損害について
休業損害とは、交通事故で仕事を休んだときに発生する減収分の損害です。交通事故に遭ったら入通院などで仕事を休まねばならないケースが多数です。そうなると、本来ならできたはずの仕事ができなくなって損害が発生します。休業によって起こる損害は交通事故が起きなければ発生しなかったといえるので、損害補償を事故の相手へ請求できます。仕事を休んだ分、どのくらいの期間まで損害補償が認められるかは、症状によっても変わってきますので一度ご相談ください。
※休業損害が払われるのは、基本的に事故前に仕事をしていた方に限られます。
休業損害の対象者
会社員(正社員・契約社員・派遣社員)、アルバイト、パート、自営業者、フリーランスが該当します。主婦や主夫などの家事労働者も含まれます。家事労働者の場合、実際に収入を得ているわけではありませんが、家事労働も仕事と評価され、家族のために家事をしている場合には休業損害を請求できる可能性があります。
休業損害の請求方法
休業損害を請求するためには、実際に仕事を休んだ日数や、いくら収入が減ったのかを証明する書類が必要となります。
【会社員など給与所得者の場合】
勤務先が発行してくれる休業損害証明書、源泉徴収票、給与明細書などが必要となります。
【自営業者など事業所得者の場合】
事故の前年の収入を証明するために、前年の確定申告書、納税証明書などが必要になります。
【家事従事者の場合】
専業主婦(夫)のような家事従事者の場合、家族構成を説明するための住民票、本人の非課税証明書、配偶者の源泉徴収や課税証明書などが必要になることがあります。
また、休業の必要性を証明する共通の資料として、医療機関が発行する、入院証明書・診断書・診療報酬明細書なども必要になります。接骨院でもわからない場合は、ご相談に乗りますので一度ご相談ください。
自営業者や家事労働者の1日当たりの収入の計算式
【自営業者(事業所得者)】
自営業者の1日あたりの収入事故前年の確定申告書に記載された所得金額の合計÷365
※実際に稼働した日数で割ることもあります。確定申告をしていない場合は、預金通帳の入金状況などから収入を証明します。これに、休業日数をかけたものが休業損害の額となります。
【家事従事者】
専業主婦や専業主夫でも、ケガなどにより家事ができなかった期間の休業損害を請求できます。この場合、1日あたりの収入は、本人の性別に関わらず、
家事労働者の1日あたりの収入事故が発生した年の女性平均年収÷365日
女性平均年収は、毎年発表される厚労省の賃金構造基本統計調査の数値を用います。仮に女性平均年収を350万と考えると、350万÷365=9,589円。これに家事が出来なかった日数をかけたものが休業損害の額となります。なお、就労もしている兼業主婦(夫)の場合は、就労による1日あたりの収入と、上で述べた家事従事による1日あたりの収入を比べ、損害の大きい方を請求することもできます。
休業補償について
休業補償は労災保険から支払われるもので、対象は労働者です。自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準に分けられます。
自賠責基準
自賠責基準の休業損害は、【休業損害=6100円×休業日数】で計算されます。実際の収入額に関わらず、1日あたりの収入を6100円として計算されるのが特徴です。実際の収入額がこれに満たない人でも1日6100円で計算されるため、収入の低い人にとっては有利といえます。
実際の収入が1日6100円を超える人の場合は、実収入を証明できれば上限が1日1万9000円まで引き上げられます。ただし、自賠責基準では、休業損害以外の治療費や入通院慰謝料など、ケガによる損害すべて含めて120万円までという支払い上限があります。
自賠責基準の休業損害6100円×休業日数
任意保険基準
任意保険会社が独自に定める基準です。【休業損害=1日あたりの収入×休業日数】で計算されます。1日あたりの収入の計算方法や、休業日数をどう捉えるかは、各保険会社によって異なります。一般的には、金額は自賠責基準と同程度かやや多めとなります。
任意保険基準の休業損害1日あたりの収入×休業日数
弁護士基準
弁護士が事故の相手方と示談交渉をしたり、裁判をする際に用いられる基準です。任意保険と同じように【休業損害=1日あたりの収入×休業日数】で計算されます。「1日あたりの収入」の計算方法は、会社員・自営業・主婦など、働き方の形態や立場によっても変わってきます。
弁護士基準の休業損害1日あたりの収入×休業日数
給与所得者の1日あたりの収入
給与所得者(会社員や公務員、パート・アルバイトなど、毎月一定額の給料を得ている人)の1日あたりの収入は下記計算式で算出されます。
給与所得者の1日あたりの収入事故前3ヶ月分の給与額の合計÷90
※実際に出勤した日数で割ることもあります。
※事故前3ヶ月分の給与額には、本給と付加給(=時間外手当・通勤手当などの各種手当)を含みます。
【具体例:7月10日に交通事故で受傷、入通院のため8月中旬まで会社を休んだ場合(休業30日)】
4月の給与:25万8000円
5月の給与:30万4400円
6月の給与:23万5000円
1日あたりの収入(25万8000円+30万4400円+23万5000円)÷90=8860円
休業損害額は、8860円×30=26万5800円となります。
仕事で休める基準は? どのくらい休業する必要があるのか?
よく患者様より、「安静期過ぎたら仕事してもいいの?」「動いて大丈夫?」と聞かれることがあります。安静期を過ぎれば仕事に復帰できそうな気がするかもしれませんが、安静期が終わっても日常生活動作で危険が起こる可能性があります。例えば、
- 車、バイク、バス、自転車などに乗車中、患部が動いて症状が悪化。
- パソコン作業や立ちながら下を向いての作業など長時間同じ姿勢をとったことで症状が悪化。
- 運動中に首が揺れたり患部に負荷がかかったことで症状が悪化。
安静期を過ぎてしばらくの間、通院が必要になるのが一般的です。安静期を過ぎても必要に応じて仕事を休むことをおすすめします。無理をして仕事に出たり、必要な通院を怠ると症状が悪化してしまう可能性があります。ただ、休業も無制限に認められるわけではなく、あくまで「休業の必要性」の範囲で認められるものなので、怪我に影響しない仕事があればそれを行った方が良いでしょう。交通事故後、通院、治療期間はどのくらいなのか、何日間仕事を休むべきなのかは通う医療機関の先生に相談してみましょう。
むち打ち(頸椎捻挫)の場合
むち打ち(頸椎捻挫)を負った場合、受傷後2週間は急性期や安静期と呼ばれ、仕事を休むことが望ましいとされます。実際の休業期間は医師の判断やむち打ちの重症度によって異なり、一般的には1か月から2か月程度かかることがある為、医師の指示に従うことが大切です。
治療が終了するまでの期間は、急性期を含めて平均で約3か月程度ですが、後遺症が残る場合は6か月以上治療を受けることがあります。安静期には、患部が炎症を起こしているため、通勤や業務中に長時間座ったり、立ちながら下を向いたりする作業などは、首に刺激を与えて症状を悪化させる可能性があるとされています。自己判断で仕事に復帰するのではなく、医師の指示に従いましょう。休業補償についても不安なことがあれば一度ご相談ください。
また、むち打ちの症状は時間が経ってから現れることもありますので、事故後に痛みやしびれなどを感じた場合は、事故と関連付けて考えることが重要です。症状の悪化を防ぐためには、仕事を休んで安静にすることが重要ですが、休むことが難しい場合は、痛みのある動作を制限するようにしましょう。CS接骨グループでも首に負担のかからない動作を指導しますので、お気軽にご相談ください。
打撲など軽症の場合
仕事を休む期間は2週間~1か月程度が標準的です。
骨折の場合
骨折した場合、治療に6か月程度かかることが多いです。よって仕事を休む期間も6か月程度が目安になりますが、軽微な骨折で6か月休業の必要性が認められるケースはそこまで多くなく、骨癒合していて、痛みをある程度我慢すれば生活に影響がない場合などは休業の必要性は認められません。これらの期間はあくまで目安で、実際の事故では同じ症状でも重傷のケースと軽傷のケースで、休業する期間も変わってきますので、医療機関で受診して症状や治療期間をしっかり確認しましょう!
痛くて仕事に行けない場合
患部に炎症が起こっている、また仕事中の体勢により負担がかかって痛みを感じる場合、そのまま我慢すると症状が悪化する可能性がありますが、コルセット・サポーターなどで補助することで仕事復帰が可能な場合もあります。
痛みの程度や、仕事内容によっては復帰が難しい場合もありますが、一度お身体を診させていただければ、どの程度まで仕事に復帰できるか、悪化しないようにするための動作をお伝えすることができます。事故から時間が経過してから痛みや症状が現れることもあるので、ご自分で判断せず一度ご相談ください。
また交通事故で怪我を負って仕事を休む際、会社提出用の書類に症状の記載などが必要な場合は、接骨院でもご用意できますのでお気軽にご相談ください。
交通事故治療ならCS接骨グループにお任せください!
CS接骨グループでは交通事故施術を行っています。整形外科などで診断された症状に対し患者様に合った施術をし、通院計画も一緒に相談させていただきます。その他にも保険会社とのやり取りや、書類作成、弁護士紹介、示談までサポートいたしますので交通事故でお悩みの方はいつでもご相談下さい!